賃金未払い請求

 労働基準法で賃金とは、「賃金・給料・手当・賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として、使用者が労働者に支払うすべてのものをいいます。」(11条)としています。すなわち、毎月支払う給料だけでなく、賞与や退職金なども、その会社に制度があれば賃金となります
 

賃金に関する条文

(労働基準法24条2項)
「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」

(労働基準法24条1項)
「賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」
 

この2つの条文をさらに分解して書くと以下のようになります。
 

・賃金は通貨(現金)で支払わなければならない。
・賃金は直接本人に支払わなければならない。
・賃金は全額を支払わなければならない。
・賃金は毎月1回以上支払わなければならない。
・賃金は一定期日に支払わなければならない。
 

これが「賃金の5原則」といわれるものです。
 

賃金請求権の時効

 

 労働基準法では,給料(賃金)に関する請求権は,2年間の時効にかかると定められています。民法では1年間で時効消滅するとされているところを労働基準法で2年に延ばしたものであって,給料については特別に保護した結果なのです。

 また,退職金については,5年間の消滅時効が定められています。

 このように,給料を請求する権利というのは,2年間それを行使しないでいると,権利が消滅してしまうことになります。このことは,残業代についても同様です。

 しかしながら、不法行為によってその賃金支払いがされないときは、損害賠償を請求する権利が生じ、損害賠償請求権の消滅時効は、民法724条によって、損害の発生したことを知った時から3年間です。

 つまり、未払いの賃金の請求権が2年間の時効で消滅しているとするなら、民法の不法行為による損害賠償として3年間の賃金請求を行うことができます。
 

未払い賃金への対処方法

 

未払い賃金への裁判以外の対処方法は、次のことが考えられます。
 

●内容証明郵便の送付

 内容証明郵便とは、いつ、誰が、誰に対してどのような内容の郵便を差し出したかを、郵便局が必要に応じて証明してくれる、という制度のものです。

 内容証明郵便はそれそのものには何等法的強制力はなく、受け取った相手に対してもその郵便の内容を強制するものではありません。
 
 この郵便の主たる目的は、郵便局が必要に応じて、内容証明郵便の内容を謄本によって証明することによって、送り主、宛名、送った日付、郵便の内容を、客観的に事実として証拠立てることができるところにあります。

 貸金の返還を請求する場合、内容証明郵便を送付することで、時効を中断させる一つの道具となります。
 

●労働基準監督署長への申告

 労働基準法第104条において、事業場に労働基準法及び労働基準法に基づいて発する命令に違反する事実がある場合には、労働者はその事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる、とあります。

 未払い賃金の問題は、賃金の全額払いや、時間外、休日、深夜労働に対する割増賃金の不払いは労働基準法条文に反しています。

 使用者が未払い賃金の支払いに応じない場合は、それが法に違反するものであるならば、労働基準監督署に申告することは有効な解決の手段となります。

 労働基準監督署は、申告を受けると、事実を調査し、指導や処分を行います。
 

● あっせん制度

 あっせん制度とは、個別労働関係紛争解決促進法に基づく、都道府県労働局に置かれた紛争調整委員会のあっせんにより、労使間による話し合いにより、迅速に紛争の解決を図る制度です。

 裁判に至る前にあっせん制度により、あっせん委員を介した労使間の話合いにより問題を解決することになります。
 

●支払督促

 支払督促とは、債権者(未払い賃金の場合債権者は労働者)が裁判所の書記官に対して申し立てを行うことにより、書記官が債務者に対して発するものです。
 
 支払督促を申立てる場合には、相手方を管轄する簡易裁判所において、相手方の指名、住所、電話番号、請求金額、請求理由を支払督促申立書に記入して窓口に提出します。

 支払督促のメリットは、手数料が通常訴訟の場合と比較して安いこと、証拠を必要としないこと、裁判所に審理の為に出向くこともないことになります。
 

●労働審判

 労働審判は個人労働者と会社との争いを解決する制度として施行されたものです。

審判期日3回、申立から審判まで約4ヶ月で解決が図れ、通常の訴訟に比べて迅速に解決できます。
 

●小額訴訟

 小額訴訟とは、金銭の支払いについて争いがある場合で、その金銭の額が60万円以下の場合に、簡易裁判所に訴訟を提起することで、その金銭の支払いの争いについて解決を図るものです。
 

●民事調停

 民事調停とは、裁判所において、裁判官のほかに一般市民から選ばれた豊富な社会経験を有するものや専門的知識等を有するものなどの良識者2名以上の計3名以上を交えて、当事者が話し合いによって争いごとを双方の合意によって解決する制度です。
 

●未払い賃金の立替払い

 未払い賃金の立替払いとは、労働者災害補償保険法の適用事業に該当する事業で1年以上の期間事業を行っていた事業主が破産の宣告をける等いわゆる倒産した場合において、その事業所の退職労働者に未払いの賃金があるときに、その事業の事業主に代わって弁済する制度です。

 

お問い合わせは佐伯社会保険労務士事務所まで

 


Yahoo!ブックマークに登録
このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事をクリップ!
Buzzurlにブックマーク
 

    ブクログ

 

佐伯社会保険労務士事務所
神戸市中央区御幸通6-1-25
ももの木三宮ビル5階
TEL: 078-242-7789
Fax: 078-242-7709
e-mail:info@saeki-sr.com
URL:  http://sr-saeki.com
Copyright© 2010 就業規則・給与計算・助成金なら神戸市の佐伯社会保険労務士事務所 All Rights Reserved.